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「アメリカ放浪記」
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「アメリカ放浪記〜5日目

夢を見た。
なんだか楽しげな夢。。俺はマイクを握って何やら叫びまくっている。

なぜかみんなで大爆笑してた。。。あんなに愉快な夢は初めてだ。。



ふと救急車のサイレンで目を覚ました。。
テレビはすでに終わっていてノイズだけが映っている。。電気もつけっぱなし。おまけに裸だ。。

そういえば、昨夜はすっかり酔っ払ってた気がする。。いやいや気がするんじゃない、、完全にイッていた。
記憶が薄い。。

完全にリミッターがはずれたんだな。。。


、、そうだ。。バーボンストリートにある「co co club」のあのバンドが原因だ。



昨夜。。
そこに行くまでも3、4件回ってそれなりに楽しんではいた。。
弾き語りのカントリーにジャズ、サックスとギターだけのブルース。。

あの有名な「preservation holl」にも行って正統なジャズも堪能した。。
姿、格好がサッチモみたいな トランペット吹きが居て俺をジャズ全盛期の時代にタイムスリップさせてくれた。。

それだけでも十分楽しんだ。
 



 

(おっ、もうこんな時間だ、そろそろ帰らなきゃ)

canal streetに向かって、お祭り騒ぎを楽しみながら歩いていた。。


ふと聞こえていたピアノ、ベース、ドラムのブルース。

一度は通り過ぎたものの、何か後ろ髪をグイっと引っ張られてそこに戻った。


(もう少し、もう少しだけ、、)


気が付いたら店の中に入って3人の音に完全に酔っていた。。


「、、、、?」


「ん、あのピアノの人、、、もしかして、、、いやまさか」


ピアノソロになり、思わず叫びたくなるようないい音を出している。

そこで黒人ベーシストが言った

「ケイコ〜」


(、、、えっ、ニホンジン!!)


今までバーボンストリートの音をいくつも聞いてきて、
その中でも一番最高で、ここまで嬉しくさせてくれるものかと思っていた音を日本人が出していた!


思わず慌ててジャックのロックを頼み、ふっと一つ空いていたカウンターに座った。。

音は国境を越える。そんな事は分かってる。。つもりだ。


でも、ここで明らかな違いを見せ付けられ、「やっぱ本場は違うわ。。」と半笑いの
若干開き直りに近い状態にいた時、日本人がその中でも最もイカシタ音を出していたのだ。。


最高の音プラス同じ日本人が頑張っているというのが重なり、
しかも1割り増しの悔しさと羨ましさと嬉しさが混じり合わされ俺は完全にイカれた。


バンドには、80年終わりごろのエラフィッツジェラルドを思わせる女性がボーカルとして加わり、 音は最高潮に達する。

そこそこ広い店だがもう満杯で入りきれない。。
それでも後から後から人が押し寄せる。店の外の道路では客がみんな同じ振り付けで踊っている。


もう涙が出てきそうになる。。。酒が進んで進んでジャックのおかわり。。


途中で隣のおば様が話しかけてきた

「私が邪魔で見れないでしょ?」
「ダイジョブですよ!」
「彼女最高ね!」
「ほんとに。。同じ国出身なんですよ」
「あらそう!もしかして君のガールフレンド??」(意味ありげな振り付けをしながら)
「まさか!(笑)初めてですよ」
「どの旅行してるの?」
「3ヶ月くらいかな。」
「あら。長いのね〜」

、、、などなど。
まだまだ話していたが、サラッと会話が進んでいくのに自分で驚いていた。



最後の曲、ボーカルの掛け声で最高潮のコール&レスポンスが始まる。。
自分でも把握しきれてない様な半ば悲鳴に近い声が勝手に出てくる。。回りもそれに近い。

曲が終わり、大喝采の中、ボーカルの女性が人の手を借りてステージを降りる。。



バンド演奏が終わり、ピアノの姉さんがチップボックスを持って店を歩き回っている。
こっちは気に入った演奏には、みんなチップ渡す。。

自分の所に来た時に少し話をした。。久しぶりの日本語での会話だ。


、、、と少し話をして息を呑んだ。。


「見た見た!?ジョーサンプル」

「、、、、えっ!?」

「さっきステージの前いた人、ジョーサンプルだよ!!」

「えぇ〜!!」


そんなに詳しくはないがジョーサンプルと言えば「クールセイダーズ」の名で1960年から活躍している世界でも超有名なピアニストだ。
ホント驚く。。


話は戻るが、、
「学生ビザでこっちに居るんだ〜。そんなに若くないんだけどね(笑)」

演るならここしかないと思いここに来たらしい。。確信犯だ。全く素晴らし過ぎです。。


「後4セットあるんだ〜、じゃあね〜」


次のステージを観てる途中、俺の目の前にジョーサンプルが酒を頼みに来た。。

あぁ夢心地、、話は出来なかったが何か込み上げてくるものがあった。


小さな子供が遊園地に行ってテレビの中だけだった憧れのヒーロー達と出会い無我夢中で見入った気分だ。。


2ステージ目が終わって俺にとっちゃあの無法地帯のcanal streetを遅い時間に歌いながら帰った(笑)



、、とにかくとにかく最高の音をありがとう!!



音楽ってやっぱ凄すぎます。




、、、、ってか負けてられないっす!!